聖歌 vs 讃美歌!?あなたが知るあの名曲の「歌詞」はどっち?〜クリスマスソングの深すぎるルーツ探訪〜

クリスマスの聖歌

「ジングルベル」やマライア・キャリーも良いけれど、クリスマスになると街や教会で流れるあの厳かでどこか懐かしい曲たち。
「もろびとこぞりて」「きよしこの夜」「まきびと羊を」……。
誰もが一度は歌ったことがある曲ですが、実はすべてキリスト教の「聖歌 / 讃美歌」がルーツなのです。

そしてさらにおもしろいことに――
同じメロディなのに、歌詞が違う。
タイトルも違う。
雰囲気すら違う。

なぜこんなことが起きたのかというと、そこにはカトリックとプロテスタントという教派の歴史と文化が深く関係しているから。

今年のクリスマスは、ただ「雰囲気で楽しむ」だけでなく、ちょっと深掘りして歌の背景にある物語を感じてみませんか。

8年ほど前にも「クリスマスの聖歌 カトリックとプロテスタント」と言う記事を書いていますが、そこからちょっとだけ深掘りしてみました。

メロディは同じなのに!?

カトリック vs プロテスタントの「訳詞分岐」現象

カトリックとプロテスタントは、キリスト教の二大教派です。
そのため、教会で歌われる曲もそれぞれ

  • カトリック → カトリック聖歌集
  • プロテスタント → 讃美歌集 に収められています。

同じ原曲でも、訳した人が違う神学的なニュアンスをどう表すかが違うなどの理由で、
まるで「双子だけど性格が違う曲」ができあがってしまうのです。

「あめのみつかいの」 vs 「荒れ野のはてに」

教派曲名雰囲気の違い
カトリックあめのみつかいのなめらかで典礼的、しっとり系
プロテスタント荒れ野のはてに力強くドラマチック、発声強め

原曲はフランスの古いキャロル
Les Anges dans nos campagnes(野の天使たち)

そしてあの有名なサビ
「グローリア〜!」
は、ラテン語の祈り
Gloria in excelsis Deo(いと高きところに神に栄光あれ)
を歌っています。

私、クリスマスシーズンにはコンサートなどで両方歌うので、
うっかりすると別バージョンに突入してしまうという鬼門曲です。

  • カトリック聖歌集121番「あめのみつかいの」
  • 讃美歌106番「荒れ野の果てに」

「まきびと」 vs 「まきびと羊を」

どちらも英語圏のキャロル「The First Noel」が原曲。
ただし、日本語歌詞は
それぞれ別の訳者がつけているため、歌詞内容が微妙に違います。

教派曲名
カトリックまきびと
プロテスタントまきびと羊を

「どっち派?」論争、毎年起きがち(笑)
私はカトリックなので、カトリック版が身体に染みてます。

  • カトリック聖歌集653番「まきびと」
  • 讃美歌21 258「まきびとひつじを」

実は聖歌だった!「えっ、この曲も!?」なルーツ

「もろびとこぞりて」には「悪魔のひとや」が出てくる

学校で歌う機会も多いので、「明るいクリスマス曲」という印象を持つ人が多いのですが、実はとても力強い神学的メッセージが込められています。イザヤ書(旧約聖書)の預言に基づいた荘厳な聖歌だったりします。

悪魔のひとや(牢獄)を 打ち砕きて 捕虜をはなつ

イエス・キリストが罪からの解放者であることを歌っている部分です。

明るいメロディの裏には聖書からの、とても深いメッセージが隠れています。

クリスマスに流れるBGMとして、グルメ番組の「うまっ!」の瞬間にこの曲が使われたのを見た時は、
キリスト教徒全員「いや今それ流すとこじゃない」って思ったはず。

  • 「もろびとこぞりて」
    この曲はカトリックもプロテスタントも同じ歌詞。
    5番まであるけど大抵は4番だけ飛ばして歌われることが多い

「きよしこの夜」はオルガン故障から生まれた奇跡の曲

オーストリアのとある村の小さな教会、クリスマス直前にオルガンが壊れた

急遽、神父が詞を書き、オルガン奏者がギター用に作曲

あの、世界で最も愛されるクリスマスソングへ成長

さらに第一次世界大戦中の1914年、
この曲がきっかけで前線が一時停戦したという歴史的出来事も。

壊れたオルガンが、
世界に平和の瞬間を生み出してしまった
…ドラマ性が凄まじい。

ちなみにカトリックでは「しずけき」、プロテスタントでは「きよしこの夜」
歌詞も微妙に違います。

さらにカトリックでもプロテスタントでもない一般向けの「きよしこの夜」もあって、これまた微妙に歌詞が違います。
歌詞の違いを「クリスマスの聖歌 カトリックとプロテスタント」に載せていますので興味がある方はご覧ください♪

  • カトリック聖歌集111番「しずけき」

讃美歌109番「きよしこのよる」

これもたまーに讃美歌バージョン(プロテスタント)歌う。
ぼやっとしてると歌詞がカトリック版「しずけき」になる要注意曲

グレゴリオ聖歌は「クリスマス音楽の源泉」

カトリックの典礼で歌われてきたグレゴリオ聖歌は、
のちのクラシック音楽に大きな影響を与えました。

例:Hodie Christus natus est(今日、キリストは生まれた)

これは元々クリスマスのミサで歌われる聖歌の典礼文ですが、
ガブリエリやスウェーリンクなど、多くの作曲家が壮大な合唱曲として再解釈しました。

  • グレゴリオ聖歌- Hodie Christus Natus Est
  • Hodie Christus natus est - Sweelinck

つまり、私たちが今聴いている「クリスマス音楽」は、
何百年も前の祈りの言葉と旋律を受け継いでいるということなのです。

グレゴリオ聖歌の”Hodie Christus natus est” は毎年歌うので
これを歌うと「クリスマス」と言う気分になります✨

今年のクリスマスは「背景に耳を傾けて」みる

流れてくる歌には、それぞれ

  • 信仰
  • 歴史
  • 祈り
  • 希望

が込められています。

メロディが知っている曲でも、
その裏にある物語を知ると、聞こえ方は変わります。

今年のクリスマスは、
胸の奥がすこしあたたかくなるような、そんな「音の時間」を過ごせますように✨