Ave Verum Corpus のロザリオ

Ave Verum のロザリオ

Ave Verum Corpus のロザリオを作ろうと思ったきっかけは、
やはりあの曲の持つ「天上の静謐」の美しさでした。

透き通るようで、どこか儚くて、
祈りそのものが空に溶けていくような感覚。
あれをロザリオにしたら、どんな姿になるのだろう。
そんなところから、今回の制作は始まりました。

歌詞がすべてを決めた瞬間

Ave Verum Corpus の歌詞の中に、こんな一節があります。

Cuius latus perforatum
unda fluxit et sanguine

(貫かれた脇腹から、水と血が流れ出た)

この一文を改めて読んだとき、
「もう、石の組み合わせはこれしかない!」と思いました。

水を表すものとしての透明なクリスタル。
血を表すものとしての深紅のガーネット。

静謐な世界の中に、
確かに“命の鼓動”があることを示す配置。
クリスタルだけでは美しすぎて、少し軽い。
ガーネットだけでは重くなりすぎる。
この二つが並ぶことで、初めて Ave Verum Corpus になる気がしました。

最初はもっと「天国寄り」の構想だった

実は最初、
「透明感」「天上」「静謐」を前面に出したくて、
クリスタルオンリーか、
もしくはクリスタルとホワイトカルセドニーの組み合わせを考えていました。

いかにも“天国のロザリオ”という感じで、
それはそれで美しかったと思います。

でも、Ave Verum Corpus は
ただ綺麗な曲ではなくて、
「水と血が流れ出た」という、
かなり生々しいフレーズを内包しています。

そこを無視するのは、ちょっと違うな、と。
そこで、ガーネットを入れることで
美しさの中に、犠牲と現実の重みを加えることにしました。

クリスタルとガーネットが語るもの

今回のロザリオでは、

  • クリスタル:水、清廉、天上の光
  • ガーネット:血、犠牲、キリストの鼓動

という役割を持たせています。

主の祈りの珠には
カットガーネットとビーズキャップを添えて、
「特別な一滴」を強調しました。

まるで、
聖杯に滴るひとしずくの血のような、
そんなイメージです。

実は、このロザリオに使っているクリスタルは溶錬水晶(クリスタルガラス)。
粉にした水晶を再形成した石英ガラスです。
今回は聖歌の清廉な響きを表現するために、あえて一点の曇りもない溶錬水晶(クリスタルガラス)をチョイス。
天然の水晶では避けられない内包物を排して、光の屈折率と透明度を極限まで高めたこのクリスタルは、
輝きをいちばん純粋に伝えてくれるように感じます。

静けさの中に宿る、鼓動

Ave Verum Corpus のロザリオのテーマは

「静けさの中に宿る、鼓動。」

美しく静かな世界の中にも、
確かに命があり、
確かに犠牲があり、
確かに愛がある。

それを、
クリスタルとガーネットで表現したロザリオです。

天上の静謐に心を澄ませながら、
その奥にある鼓動にそっと耳を傾ける。

そんな祈りの時間に寄り添えたら、
このロザリオはきっと、
とても幸せだと思います。

作品詳細

作品名Ave Verum のロザリオ
素材ガーネット(天然石)、クオリティ・クリスタル(溶錬水晶)約6mm、ガーネット(天然石) 約8mm
サイズ輪の長さ:約650mm /全体の長さ:約490mm
十字架約55mm x 38mm イタリア製
メダイ約20x15mm イタリア製

モーツァルトと、グレゴリオ聖歌の Ave Verum

Ave Verum Corpus といえば、
やはり多くの方が思い浮かべるのはモーツァルト版だと思います。
天上の旋律、という表現がぴったりの名曲です。

でも実は、
グレゴリオ聖歌版の Ave Verum も存在します。

こちらはモーツァルト版とはまったく性格が違って、
とても落ち着いていて、
グレゴリオ聖歌らしい簡素で静かな旋律です。
装飾は少なく、祈りそのものに近い感じ。

私はこのグレゴリオ聖歌版も歌ったことがあるのですが、
問題が一つ。

……つい、モーツァルト版を歌いそうになる。

楽譜を見ているのに、
脳内ではモーツァルトが鳴り始める。
口はグレゴリオ聖歌、
頭はモーツァルト。
カオスです。

去年の「メガネ事件」も忘れられない

Ave Verum は「キリストの聖体の主日」に歌われることが多い曲です。
去年もその機会があったのですが……

その日、まさかのメガネ忘れ。

楽譜、見えない。
音符、ぼやける。
完全に霧の向こう。

(※この話は過去記事「聖歌隊 見えてないけど歌うしかない|メガネと楽譜と眉間のしわ」にもあります)

それでもやっぱり、
Ave Verum は大好きな曲です。