カトリックの教会、なぜ色が変わるの?〜典礼色でわかる教会の一年〜

カトリックの教会に何度か足を運んだことのある人なら、
「今日はなんか紫だな?」
「この前は白だったのに、今日は緑?」
と、ふと不思議に思ったことがあるかもしれません。
実はこれ、気分でも装飾担当の好みでもなく、ちゃんと意味があります。
カトリック教会では、1年を通して「典礼暦」というカレンダーに沿っていて、
その時期ごとに決まった色(典礼色)が使われるのです。
典礼色ってなに?
典礼色とは、ミサで使われる祭服や祭壇の布の色のこと。
「今はどんな時期なのか」「どんな心で祈る時なのか」を、
色で分かりやすく表しているものです。
代表的な色はこんな感じ。
- 白:喜び・祝祭(クリスマス、復活祭など)
- 紫:悔い改め・準備(待降節、四旬節)
- 緑:成長・日常(年間)
- 赤:聖霊・殉教・情熱(聖霊降臨、殉教者の祝日)
「今日は紫だな」と思ったら、
「ああ、今はちょっと立ち止まって心を整える時期なんだな」
というサインでもあります。

仏教のお坊さんも紫?ちょっと似てるけど、ちょっと違う
ここで面白いのが、仏教との共通点。
日本の仏教でも、紫の袈裟ってありますよね。
仏教の場合、紫は位の高い僧侶が身につける色で、
修行や徳の深さを表す意味合いが強いそうです。
一方、カトリックの紫は
「偉い人の色」ではなく、
悔い改め・準備・内省の色。
同じ紫でも、
「ステータスの紫」と「反省の紫」。
似ているようで、方向性はけっこう違います。
たまに起こる「ストラの色、うっかり事件」(+付け方にも意味があります)
私の所属教会では、司式はしないけれど
拝領の時だけヘルプで出てくる神父さんがいらっしゃることがあります。
ある日、香部屋(こうべや)の入り口で待機している神父さんを見て、
私は心の中でこう思いました。

「あ……ストラの色、今日それじゃない……」
ストラというのは、神父さんが首から下げている細長い布のこと。
これも祭服の一部で、典礼色がちゃんと決まっています。
さらにややこしいのが、ストラの「付け方」にも決まりがあること。
- 首からまっすぐ前に垂らしている → 司祭
- 斜めに掛けている → 助祭
つまり、色だけでなく、掛け方も含めて「役割表示」なのです。
さて、違う色のストラをつけていた神父さん、しばらくすると
「……あっ!」
と気づいたのか、スッと香部屋に引っ込み、
正しい色のストラに替えて再登場。
なんだか、ちょっと親しみを感じつつ、ホッとする。

香部屋はパン屋じゃない問題
ちなみにこの「香部屋(こうべや)」、
信者以外の人に話すと、かなりの確率でこうなります。
私「香部屋で待ってた神父さんがね」
相手「え、神戸屋?パン?」
……違う。
パン屋じゃない。教会の部屋です。
「香部屋のパンが……」なんて話そうものなら、
完全に会話が噛み合わなくなります。
教会用語、地味にトラップ多いです。
※香部屋:司祭や侍者が準備をする部屋。パン屋ではありません(大事)。
色を知ると、ミサがちょっと面白くなる
典礼色のことを知ると、
ミサが少しだけ立体的に見えてきます。
今日は祝う日なのか、
静かに祈る日なのか。
教会は、言葉だけでなく色でも語っているのです。
次に教会に行ったとき、
ぜひ「今日は何色かな?」と見てみてください。
そこから、カトリックの1年がそっと始まります。


