カトリック 聖母マリアと色の話

教会の絵画や聖像を思い浮かべると、
聖母マリアはたいてい 青いマントをまとっています。
この青い色、なんとなく「マリア様の色」というイメージがありますよね。
でも実は、この青は典礼色にはありません。
青いマント、赤い衣、そして典礼色の不思議
え?と思われるかもしれませんが、カトリックの典礼色には基本的に
- 白
- 赤
- 緑
- 紫
の4色があり、そこに特別な色として
- 黒(葬儀など)
- ピンク
などが加わります。
つまり、青は典礼色には入っていないのです。
マリア様の色といえば青なのに、典礼では使われない。
このちょっとしたズレ、実はなかなか面白いところです。
マリアの青いマントの意味
では、なぜマリア様は青いマントをまとっているのでしょうか。
その理由の一つは、天の色だからと言われています。
青は空の色。
つまり、神の世界や天国を象徴する色です。
もう一つは、尊さの象徴。
中世の絵画で使われた青の顔料は、
ラピスラズリという非常に高価な石から作られていました。
そのため、画家たちはこの貴重な青を
最も重要な人物を描くときに使ったのです。
マリア様の青いマントは、
信仰だけでなく、美術史の背景とも深く結びついています。
青と赤の組み合わせ
マリア像をよく見ると、
青いマントの下に赤い衣を着ていることも多いです。
この組み合わせにも象徴があります。
青は「天」、
赤は「人間」や「愛」の色。
つまり、
神の恵みに包まれながら、
人間として生きた存在
という意味を重ねて描かれることが多いと言われています。
典礼色にはピンクがある
ここで、もう一つ面白い小ネタ。
典礼色には、実はピンクがあります。
ただし、使われるのは年に2回だけ。
- 待降節第3主日(Gaudete)
- 四旬節第4主日(Laetare)
どちらも、
悔い改めの期間の途中で
「喜び」を少しだけ先取りする日です。
紫の厳粛な色の中に、
ふっと差し込むやさしい色。
そのため、ピンクの祭服は
あまり見かけないレアな存在でもあります。
(日本では、紫の場合がほとんど)
私も実際には、
まだ一度も見たことがありません。
「ピンクの祭服を見たら、ちょっとラッキー」
そんな感覚に近いかもしれません。
桜色とマリアの優しさ
さて、日本にいると
春になるとどうしても気になる色があります。
桜色です。
桜はキリスト教の象徴ではありませんが、
海外では「新しい命」や「再生」の象徴として
語られることもあります。
冬の終わりに一斉に咲く姿は、
どこか復活のイメージにも重なります。
そして、やわらかなピンクの花びらは
どこかマリア様の優しさや慈しみを思わせる色。
そう考えると、
桜色のロザリオや祈りの道具にも、
どこかマリア的な雰囲気を感じるのは
不思議ではないのかもしれません。
色を知ると、聖画も祈りも面白くなる
教会の美術や聖像には、
こうした色の象徴がさりげなく隠れています。
青いマント。
赤い衣。
そして、たまに現れるピンクの祭服。
そんな色の意味を少し知るだけでも、
教会の絵画や祈りの世界が
少しだけ違って見えてくるかもしれません。
そしてもし、
春の光の中で桜を見かけたら——
そのやさしい色の中に、
マリア様の穏やかなまなざしを
そっと重ねてみるのもいいかもしれません。
コラム:なぜマリアの色「青」は典礼色にないの?
ここまで読んで、
「マリア様の色といえば青なのに、どうして典礼色にないの?」
と思われた方もいるかもしれません。
実はこれ、理由はとてもシンプルで、
典礼色はマリアの象徴ではなく“キリストの出来事”を表す色だからです。
カトリックの典礼色は主に次の意味で使われます。
- 白:復活・栄光・喜び
- 赤:聖霊・殉教・情熱
- 緑:希望・日常の信仰生活
- 紫:悔い改め・待降節や四旬節
つまり典礼色は、
救いの歴史や教会の暦を表す色なのです。
そのため、
聖母マリアの象徴色である青は
典礼色の体系には含まれていません。
ただし例外もあります。
スペインなど一部の地域では、
無原罪の御宿りの祭日に青い祭服が許されている伝統があります。
つまり青は
典礼色ではないけれど、
マリアを象徴する特別な色として大切にされてきた色と言えるでしょう。


