Sicut Cervus のロザリオ ― 命の水を求める祈り

Sicut Cervusのロザリオ

「谷川の水を求めて、鹿が喘ぐように――」

日本語の典礼聖歌としても親しまれているこの詩篇は、
実はグレゴリオ聖歌 Sicut Cervus と同じ言葉をもとにしています。

同じ祈り。
けれど、その響きは少し違う。

今回は、そのグレゴリオ聖歌をテーマに、ロザリオを作りました。

日本語の祈りから、ラテン語の世界へ

「谷川の水を求めて」という聖歌は、
ミサの中でも耳にする機会のある、穏やかな旋律です。

一方で、ラテン語で歌われる Sicut Cervus は、
より静かで、内側に深く沈んでいくような響きを持っています。

同じ詩篇でありながら、
その“体感”は少し異なります。

言葉が違うだけで、祈りの温度もまた変わる。

そんな感覚があります。

ラテン語の響き

Sicut cervus desiderat ad fontes aquarum,
ita desiderat anima mea ad te, Deus.

(神よ、鹿が谷川の水を求めるように、私の魂はあなたを求める)

この言葉にあるのは、静かな美しさというよりも、
どちらかというと、切実な渇きです。

「求める」というよりも、
求めずにはいられないような感覚。

魂の渇きと、水

このロザリオのテーマは、

魂の渇きと、命の水

です。

満たされている状態ではなく、
何かを必要としている状態。

その“渇き”を起点にしています。

水の表情を持つ石

主石には、マルチカラーアクアマリンを選びました。

一粒ごとに異なる、やわらかな色合い。
淡いブルーやグリーン、わずかに黄みを帯びた色。

どれも均一ではなく、
自然の水のように、ゆらぎを持っています。

澄んだ流れ、浅瀬の光、
山あいを流れる静かなせせらぎ。

そんな“水の表情”を重ねています。

光を映す水面

そこに合わせたのが、カット入りのクリスタル。

水面に差し込む光のように、
ところどころで静かにきらめきます。

主張しすぎず、
けれど確かにそこにある光。

「命の水」としての、清らかさと透明感を添えています。

素朴であること

今回のロザリオで意識したのは、

華美であることではなく、素朴であること

でした。

強い輝きや豪華さではなく、
祈りの中に静かに馴染む質感。

少しマットで、やわらかく、
手の中に自然に収まるような印象。

渇きを満たすということ

このロザリオは、完成された満足感を表すものではありません。

むしろ、

満たされていない状態から始まる祈り

です。

求めること。
渇いていること。

それ自体が、祈りの入り口になる。

水辺にたどり着くように

珠をひとつひとつ辿るたびに、
少しずつ落ち着いていくような感覚。

急に満たされるのではなく、
ゆっくりと潤っていくような時間。

まるで、水辺にたどり着くように。

Sicut Cervus

このロザリオは、そんな祈りのかたちです。

「魂が安らぐ岸辺へ」

その言葉の通り、
静かに導かれていくようなロザリオになればと思います。

作品詳細

作品名Sicut Cervus のロザリオ
素材マルチカラーアクアマリン(天然石)、クリスタル(天然石)約6mm、クリスタル(天然石) 8mm
サイズ全体の長さ:約490mm  / 輪の長さ:約680mm
十字架約52 × 30mm イタリア製
メダイ18 × 15mm イタリア製

Gallery & Motion
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