プチプラで買ったチュールスカートが想像を遥かに超える「何か」だった件

最近、緑色にご縁があります。

つい先日も、アイルランドの守護聖人・聖パトリックをテーマにしたロザリオを制作したばかり。
深いグリーンと、どこか祈りを感じさせる静かな輝きがとても気に入っていて、「緑っていいなあ」としみじみ思いました。緑色、大好きです。心が安らぎますし、見るだけで癒されます。

……なのに、その安らぎを吹き飛ばすような事件がひとつ。

今の私には「緑」といえば、あの“クラゲスカート事件”。

見た瞬間にときめき、即決でポチり、そして3000円で撃沈した、あの伝説の(?)一件です。

今回は少し趣向を変えて、「緑色」からつながる “ときめきと撃沈” のコラムをお届けします。
ロザリオや信仰のお話の合間に、ちょっとした箸休めとしてお楽しみいただけたら嬉しいです。

憧れのバレエコアとの出会いと、プチプラとの衝撃的な遭遇

最近よく街で見かける、ふわふわチュールのスカートやフリルたっぷりのブラウス。
「バレエコア」というファッションらしいです。

若い方たちのトレンドだとは思いつつも、かつてクラシックバレエをやっていた身としては、あのふわふわ感、どうにも放っておけないのです!

もちろん、年齢のことは自覚しております。
四捨五入したら還暦寄りの50代です。でも、いくつになってもチュールにときめいてしまいます。

「シックな色ならイタくならないかも…?」そんな淡い期待とともに、ポチッとしてしまった——それが、すべての始まりでした。

クラゲのように舞うスカートに、恋をした

きっかけは、教会で時々お見かけする素敵なお嬢さん(おそらく20代)。
その日、彼女が身につけていたのは、ふわりと空気をはらんだ淡いベージュのチュールスカート。
段々についたフリルが歩くたびに揺れて、その姿はまるで——優雅に海を漂うクラゲ
(褒めてます!全力で!)

「いいなぁ…」
でも、話しかけられるほどの関係ではなく、年齢差も“親子くらい”あるので、

「そのスカート、どこで買ったんですか?」なんて聞けるはずもなく。

同じスカートが欲しいなんてドン引きされるかも……

けれど、どうしてもあのスカートのことが頭から離れず、気づけば私は深夜、ネットの海にダイブ。
チュール・フリル……そんなキーワードでネットの海を漂っていたら——ありました。

まさに、あのクラゲスカートにそっくりな一着が!

ふわふわクラゲスカート
商品ページのふわふわフリルたっぷりのクラゲスカート

裏地の短さが気になるけれど、近い色味の生地を足すか、裏地だけ付け替えればいいよね?
(年齢を考えて、やっぱり足スケスケは避けたいところ……)

奇跡の出会い?いや、それは圧縮された刺客だった

段々のフリル、ふわふわチュール、夢のようなボリューム……
しかも想像よりゼロが一つ少ないお値段。
色も抑えられたグリーンでシックに着られそう。

「これだ!」と、即ポチ。
「似合わなくても3000円なら諦めがつく」と、自分に言い聞かせた私。

数日後、ポストに届いたのは——カッチカチの圧縮パック
チュールスカート? どこ?
一瞬、真空パックの草餅湿気た海苔かと思いました。

カチカチクラゲスカート
届いた瞬間のスカート。クラゲ感ゼロの「海苔」状態

広げてびっくり、ギャザー失踪事件

恐る恐る開封してみると、「思ってたんと違う」の大波が。
広げた瞬間、第二波が到来。

「……ギャザーが、ない。」

想像していたのは、フリルたっぷりのふわふわスカート。
届いたのは、しわくちゃなチュールに1cm間隔で畳まれた無慈悲なタックの山。
ギャザーじゃなくてタック! フリルでもなくて直線!

現実
届いたよれよれ海苔スカート

洋裁歴そこそこ長い私の目が、一瞬で見抜いてしまいました。
これは……雑。いや、悲しみの縫製……。

もはやギャザーは失踪中。しつけ?なくらい荒い縫製

フロントど真ん中、白い糸の衝撃

そしてとどめを刺したのが、フロント部分に現れた白い糸のつなぎ目。

グリーンのチュールに、白い糸。しかもど真ん中。

「糸くずかな?」と引っ張った私が間違っていました。
それ、つなぎ目でした。うっかり外してしまったことで、返品も不可能に。

クラゲスカートの糸
白い糸がフリルを貫通。しかもフロント中央

よくよく観察してみると、ロックミシンだけで縫い合わされているスカート本体。
そして、そのロックミシンの端、ちゃんと始末してない。

解ける縫い目
解けるロックミシン。まさかの着用中解けるかもなやつ!

これ、このちょこんとあちこちではみ出してる糸を切ると、
着用中に縫い目、解けるかもしれんやつ。

チュールの縫製って、簡単ではないのでロックミシンだけでやっちゃたのでしょうねぇ、これ。

現在、供養中です

というわけでこのスカート、着ることは断念し、今は手芸素材として静かに供養中。
なんだか妙なにおいもするので、まずは“消臭の儀”からのスタートです。

せっかくなので、なにか作品に生まれ変わらせて——
「伝説の圧縮スカートシリーズ」として、いずれ再登場する……かもしれません。

おわりに

いくつになっても、心がときめくものに惹かれる気持ちは変わらない。
たとえそれが大失敗に終わっても、笑ってネタにできるなら、それもまた大人の余裕——
……と、自分に言い聞かせつつ、やっぱりちょっと、3000円返してほしい私でした。