グレゴリオ聖歌 私の声の居場所 ― 憧れの声を追いかけて

お気に入りのアカペラグループの透明感あふれるハーモニー。
ふわりと浮かぶソプラノ、優しく柔らかいテノール、しっかり支えるバス。
その間を繋ぐアルトの美しさ。
あの音を聴くたびに、「あんな美しい声になりたい……」と妄想の世界に飛び込みます。
教会の聖歌隊で一緒のメンバー(プロのソプラノ)の声も、ドラマチックで本当に美しい。
憧れの声があるって、やっぱりいいなあ。
「私は天才!」の呪文、しかし現実は非情
発声クラスの先生曰く、

高音は“私は天才!”って思わないと出ないよ
……そう言われたらやるしかない。
心の中で唱える呪文——「私は天才!」「私は天才!」(本当か?)
憧れのソプラノになったつもりで歌い出すと、理想の響きが……
当然、来ない
高音に差し掛かると、緊張のせいか喉が硬直。
「……今、鶏しめた?」みたいな声に。

先生、すみません。天才って思っても出ません……
呪文の効力、たぶん保証期間切れです。
ハーモニーを守る戦い(という名の修行)
普段の聖歌隊では、ミニマム構成&広い聖堂(カテドラル)なので、声は思い切り出すことが多いです。
でも、グレゴリオ聖歌のグループではそうはいかない。
いつもの調子で声を出すと、ハーモニー即・崩壊。
他メンバーの冷たい視線が刺さる(※被害妄想込み)。
なので、ものすごーく気をつけています。
横隔膜で支え、体の力を抜き、息をコントロールして、
丸ーく、柔らかーく。
(できてるかどうかは別問題)
高音で「丸く…まるく…」と唱えながら歌ってると、
だんだん意識が遠のき、「これ、もしかして悟りの修行…?」って気分に。
で、息が足りなくなって白目剥く。
脳内実況「はい、ただいま限界突破〜!」
アマチュアには難易度Sランク。ラスボス、横隔膜。
それでも憧れを追いかける
曲を終えたとき、まだ理想の音には遠くても、
あの透明感のある声を夢見て息を整える時間は、なんとも言えない幸福感。
うまくいかない日も、理想に近づけた日も。
どちらも積み重ねた声の跡。
たぶんそれが、私の居場所。

