新教皇レオ14世誕生――歴代教皇名の人気ランキング

ステンドグラス

新教皇レオ14世の登場は、世界中のカトリック信者にとって大きなニュースとなりました。けれど、同時にふと気になったのが——「レオって、そんなによくある名前なの?」という素朴な疑問。

そこで今回は、歴代の教皇266人(※2025年5月現在)のお名前を集計し、

「人気のある教皇名ランキング」
「評価の高い教皇・ちょっと残念だった教皇の名前」

をご紹介します。
教皇レオ14世から、ちょっとマニアックな名前の世界へようこそ!

教皇名ランキング!いちばん多い名前は?

まずは、2000年以上の教会の歴史で、最も多く選ばれた教皇名を見てみましょう。

1位 ヨハネ(John)……23人
2位 グレゴリウス(Gregory)……16人
2位 ベネディクト(Benedict)……16人
4位 クレメンス(Clement)……14人
5位 イノケンティウス(Innocent)……13人
6位 レオ(Leo)……13人 → 14人目がレオ14世!
7位 ピウス(Pius)……12人

レオは第6位ですが、今回の新教皇で名実ともに14人目
これだけでも、かなりの伝統ある名前だとわかります。

名前に込められた意味と背景

  • レオ(Leo):「ライオン」を意味し、勇敢さと守護を象徴。教皇レオ1世やレオ13世などが有名。
  • ヨハネ(John):「神は恵み深い」を意味し、使徒ヨハネや洗礼者ヨハネに由来。
  • グレゴリウス(Gregory):「目覚めている者」を意味し、教会の改革者として知られるグレゴリウス1世に由来。
  • ベネディクト(Benedict):「祝福された者」を意味し、聖ベネディクトゥスに由来。
  • クレメンス(Clement):「慈悲深い」を意味し、初期教会の教父クレメンスに由来。

「レオ」と名乗るということは、偉大な先人たちの系譜に自らを連ねるということ。
と同時に、「またレオか」と言われる覚悟も必要です(笑)。

それでも、信仰と知性のバランスを求める今の時代にこそ、
レオ13世のような“社会に開かれた教会”のビジョンを継ぐレオ14世に期待したいですね。

歴史に名を残した「名教皇」たち

  • レオ1世(大レオ) (在位440–461年)
    通称「レオ大王」。なんと、アッティラ率いるフン族を説得だけで撤退させたという伝説の人物。
    神学的にも、キリストの神性と人性を明確にした「レオの書簡」で知られています。
  • グレゴリウス1世(大グレゴリウス) (在位590–604年)
    グレゴリオ聖歌」の“グレゴリオ”さんです。
    教会の構造改革、宣教、典礼整備など、教会を形づくった大功労者。
  • ヨハネ23世
    第二バチカン公会議を招集し、現代カトリックの方向性を決定づけた「優しい教皇」。
  • レオ13世 (在位1878–1903年)
    近代社会への橋渡し役」。労働問題に取り組んだ回勅『レールム・ノヴァールム』は、
    今もカトリック社会教説の礎とされています。
    個人的には、レオ14世の“ご先祖的存在”として、今こそ注目されてほしい人物です。

ちょっと残念だった教皇たち

一方で、すべての教皇が清く正しく…とは限らず、歴史の中には問題行動が目立ってしまった方々も。
少しだけご紹介します(そっと…)。

  • ステファヌス6世(896–897年)
    前任の教皇フォルモススの遺体を掘り起こして法廷に立たせるという「死体裁判」を強行。
    歴史の闇を感じざるを得ません…。もはや教会の【黒歴史
  • アレクサンデル6世(1492–1503年)
    あの有名なボルジア家の出身。
    縁故主義とスキャンダルまみれで、ドラマ化されるほどの波乱万丈っぷり。
  • ヨハネ12世(955–964年)
    若くして教皇となるも、放蕩な生活を送り、教皇庁を“私物化”したとも。
    命を落としたのはとある女性の家…という説も……(あくまでです)。

ちょっと番外編:レアな教皇名たち

ランキング上位は「ヨハネ」「グレゴリウス」など王道の名ばかりですが、
歴代266人の教皇の中には「それ誰?」と思ってしまう、ユニークな名前の教皇もいます。

  • リヌス(Linus)
    ペテロの次、第2代教皇。スヌーピーの友達ではなく、れっきとした教皇名^^
    名前の響きにちょっと親しみを覚える人もいるかも?
  • ヒギヌス(Hyginus)(9代目・2世紀)
    語感だけでもうレア枠。ギリシャ出身の哲学者でもありました。
  • ゼファリヌス(Zephyrinus)(15代目)
    名前の由来は「西風(Zephyr)」。なんとも詩的な響きです。
  • シクストゥス(Sixtus)(1世〜5世まで)
    発音も表記も難読気味。でも5人もいるという意外なポピュラーネーム
  • ヒラリウス(Hilarius)(46代目)
    陽気な教皇」として人気……だったかは謎ですが、名前だけで明るい印象

初期教会の教皇たちは、まるでファンタジー小説に出てきそうな響きの名前が多め。
ロマンを感じる…けど、現代ではあまり採用されなさそうです。

ちなみに、前教皇フランシスコも史上初。
アシジの聖フランチェスコへの敬意を込めてこの名を選んだことで、多くの人に感動を与えました。

あれ、この名前……どこかで?

ちなみに、映画『教皇選挙(Conclave)』で新たに選ばれた教皇が選んだ名前「イノケンティウス」も、実は歴代13人の教皇に使われた“超”伝統的な名前。
人気教皇名ランキングでも堂々の5位にランクインしています。

……と、ここまで書いておいてなんですが、実は私、

「そんな名前、初めて聞いた!」と思ってしまいました。

“イノケンティウス”って、響きはかっこいいけれど、
なんだかゲームのラスボス
みたいにも聞こえるような……(失礼)なんて思ってしまったのですが、
「イノケンティウス(Innocent)」は「潔白な」「罪のない」を意味するラテン語に由来しています。
清廉で揺るぎない信仰を象徴する、重みある伝統的な名前なのだそうです。

今更ですが、映画での名前の選び方に、思わず唸ってしまいました。

✨結びのひとこと

「名前」は、教皇の“信仰とビジョン”を映し出す鏡。
もしかしたら、これから先の人生で出会える“新しい教皇名”は、あと一つあるかどうか——。
そう思うと、今回の「レオ14世」は、ますます記憶に残る名前になりそうです。
歴史をつなぐその一つひとつの名に、これからも心を留めてゆきたいです。